街中に放置される吸い殻の山は、個人の倫理観だけに起因する問題ではない。現代社会が抱える複雑な社会問題として捉える必要がある。加熱式タバコの普及に伴い「煙が出ないから」「臭いが少ないから」という心理的ハードルの低下が見られ、ポイ捨ての態様はむしろ巧妙化・悪質化しているのが実情だ。目立たない場所へ投げ捨てる行為が横行し、清掃コストは膨れ上がる一方である。
生態系への悪影響をはじめとする環境問題の観点からも、フィルターに含まれるセルロースアセテートの難分解性が懸念されている。土壌や海洋に残留したマイクロプラスチックは数十年単位で残り続ける。たばこ産業側も手を手をこまねいているわけではない。大手事業者の日本たばこ産業(JT)などは携帯灰皿の配布や喫煙マナーの普及キャンペーンを展開してきたが、消費者の意識変容が追いついていないのが現実である。