受験対策は壮絶を極めたという噂だ。歌舞伎の稽古と並行しての猛勉強。慶応義塾が重んじる「独立自尊」の精神は、寺島家の子育て論と見事に合致していた。寺島しのぶ自身、伝統に縛られず自らの道を切り拓いてきた表現者だ。息子にも、自分の力で考え、行動する人間になってほしいと願うのは自然な流れだった。
「歌舞伎しか知らない人間にしたくない」。そんな母の強い思いが、この選択の裏には透けて見える。慶応という多様な才能が集まる環境は、眞秀にとって最高の刺激となっているはずだ。単なる「お坊ちゃん学校」ではない。そこは、自己責任と個性がぶつかり合う戦場でもある。