スーパーやチーズ専門店で「赤いチーズ」を見かけたとき、最も多くの人が抱く疑問が「この赤いものの正体は何か」という点だ。結論から言えば、多くの場合その表面を包んでいるのはパラフィンなどを原料とした専用のコーティング剤である。チーズの乾燥を防ぎ、雑菌の繁殖を食い止めるために施されたこの皮膜こそが、遠く離れた海を渡るための「鎧」の役割を果たしてきた。
一方で、表面だけでなく切った断面までもが鮮やかなオレンジから赤色に染まっているチーズもある。こちらは外皮の加工ではなく、チーズ製造の初期段階で原料乳に自然由来の色素を混ぜ合わせる手法だ。視覚的な美しさだけでなく、風味のコクや熟成の目安を示すシグナルとしても機能してきた。