不満ばかりを述べる人物像は、映画やドラマの創作世界でも古典的かつ象徴的なテーマとして描かれてきた。オークランド・アスレチックスの劇的な改革を描いた映画『マネーボール』では、データ野球という画新的なシステムを導入しようとする主人公に対し、古い価値観に執着するスカウト陣が絶えず不満をぶつけ、改革を足止めしようとするシーンが印象的だ。変化への恐怖が、文句という形で表出する典型例と言える。
また、日本のネットカルチャーから生まれた名作ドラマ『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』でも、過酷な労働環境下で互いに文句をぶつけ合い、負の感情を伝染させていく職場の生々しい空気感が描かれた。追い詰められた人間関係のなかで不満がどのように連鎖し、組織全体を崩壊へ導くかを過酷なまでに映し出している。
これらの作品が示すように、不満の連鎖は単個人の精神的な問題にとどまらず、集団全体の生産性や雰囲気を根底から蝕む社会的な病理として機能している。