京都の世界遺産を語る上で欠かせないのが、正式名称である「古都京都の文化財(京都府京都市、宇治市、滋賀県大津市)」という枠組みです。1994年、ユネスコ世界文化遺産に登録された際、京都の寺社は個別に登録されたわけではありません。平安京建都から江戸時代に至るまで、千年以上日本の政治・文化の中心であり続けた歴史の重層性を証明するため、17カ所の構成資産が一体となって選定されました。
これらの資産は、京都市内に13カ所、宇治市に2カ所(平等院・宇治上神社)、滋賀県大津市に1カ所(延暦寺)という広がりを持っています。平安時代の密教文化を伝える東寺や仁和寺、鎌倉・室町時代の禅宗文化と庭園美を極めた天龍寺や西芳寺、桃山時代の豪壮華麗な権力を象徴する二条城や醍醐寺、そして江戸時代の木造建築美を残す西本願寺まで、各時代を代表する最高峰の建築と庭園が奇跡的な保存状態で残されている点が、世界的に極めて高く評価されました。
第二次世界大戦の戦火を免れた歴史的背景に加え、各寺社を支えてきた宮大工や庭師、地域住民による保存・継承の情熱があってこそ、現代の私たちはこの壮大な歴史絵巻を体感することができます。