2009年の公開当時、作中に登場するインターネット上の仮想空間「OZ(オズ)」は、あくまで魅力的なフィクションとして受け止められていた。世界中の人々がアバターを持ち、行政手続きからショッピング、インフラ管理までを一元化されたプラットフォームで行う世界観。しかし、2026年現在のスマート社会を見渡すと、細田守が描いたビジョンがいかに恐るべき先見性に満ちていたかに驚かされる。
OZのビジュアルデザインや社会インフラとしての着想は、当時台頭し始めていた初期のソーシャルメディアや任天堂のMii、さらには金融と決済が統合されたデジタルエコシステムがモデルとなっている。単なるSFアニメのガジェットにとどまらず、利便性と背中合わせにあるセキュリティの脆弱性や分散型ネットワークの重要性までをも描ききっていた点は、現代のアニメーション産業における金字塔と評される理由でもある。