パンデミック期の停滞を経て、催事場の熱気は完全に戻ってきた。しかし、その光景は数年前とは明らかに異なる。かつてのような無秩序な混雑を避けるため、主要な百貨店は公式アプリを通じた「デジタル整理券」制度を定着させた。来場者はスマホで整理券を取得し、指定の時間までは他のフロアで買い物を楽しめる仕組みだ。
一方で、一時期姿を消していた「生試食」が完全復活を遂げたことも大きい。実店舗ならではの「五感で味わう体験」が、ネット通販では味わえない現場の購買意欲を強力に後押ししている。削りたてのチーズの香り、目の前で炙られる帆立の音、店員の活気ある掛け声。これらが一体となり、客の財布の紐を緩めさせている。