事件が社会問題化する直前、戸塚ヨットスクールを奇跡の教育現場として賛美する動きが大手メディアにも存在していました。その象徴となったのが、1983年に制作された映画『スパルタの海』です。名優・愛川欽也氏が戸塚校長役を演じ、非行少年たちが海の厳しさを通じて立ち直っていく姿を感動的に描いた作品でした。
しかし、劇場公開を直前に控えたタイミングで戸塚氏らが逮捕されたため、映画はお蔵入り(劇場公開中止)を余儀なくされました。配給会社による自主規制が敷かれ、長年「幻の映画」として封印されていましたが、事件から約28年が経過した2011年に突如劇場公開が実現。当時の熱狂とメディアの過剰な持ち上げぶり、そしてその後に起きた惨劇のコントラストを生々しく伝える貴重な歴史的資料として、映画ファンの間でも大きな話題を呼びました。