数字上は数千万円から億円単位を稼ぎ出すプロ力士ですが、関係者の証言や引退力士の手記を紐解くと、他のプロアスリートとは根本的に異なる「構造的な出費の多さ」が浮かび上がってきます。
関取になると、自身の身の回りの世話をしてくれる付け人(幕下以下の弟弟子)に対して、場所手当の支給やお小遣い、日々の食事の奢りなどが発生します。巡業先での飲食代、後援会関係者との付き合い、自身の体型を維持するための毎日の食費補助、さらには特注の着物や帯、浴衣生地(反物)の製作・配布費用など、関取としての体面を保つための出費は年間数百万円から1,000万円以上に及ぶケースも珍しくありません。
元十両力士のある証言手記には、「十両に上がって年収が1,500万円を超えたが、付け人への小遣いや後援者へのお礼、関取としての付き合いで通帳の残高はほとんど増えなかった。真の意味で手元にまとまった資金が残るのは、幕内上位に定着して三役や懸賞金をコンスタントに獲れるようになってからだ」という生々しい告白が綴られています。