内藤泰弘という名前を聞いて、まず頭に浮かぶのはその圧巻の画力とセンスあふれる台詞回しだ。横浜出身の彼は、若き日にトイガンやアメコミフィギュアなどのポップカルチャーに深く没頭した。この体験こそが、のちに彼の描くキャラクター造形やガジェットデザインの強固な骨組みとなった。
会社員生活を経験した後に本格的な執筆活動へ舵を切ったという異色の経歴も、彼の作品に独特のリアリティを与えている。日常が突如として非日常へと変貌する恐怖と快感。泥臭く生きる人間たちのたくましさ。それらは、社会の現実を知る彼だからこそ描ける肉声なのだ。