報道陣や一般視聴者が最も強い憤りを覚えたのは、視聴者が福祉や災害復興を願って寄せた「善意の募金」に直接手が付けられていた点です。元幹部が実行していた手口は、極めて単純かつ前時代的な盲点を突いたものでした。
日本海テレビ本社に集約された『24時間テレビ』の募金は、鳥取・島根両県内の募金拠点やイベント会場から集められた硬貨・紙幣が現金のまま金庫に一時保管される運用となっていました。元局員はこの現金を銀行へ入金・送金する業務の管理を一手に担っており、「金庫から現金を小分けにして持ち出し、自身の鞄やポケットに入れて着服する」という行為を繰り返していました。集計作業の照合プロセスが複数人の相互チェックになっておらず、責任者単独で現金を動かせる権限集中が生じていたことが致命的な原因です。
社内調査および記者会見で明かされた着服の主な動機は「スロットやパチンコなどのギャンブル資金、および私的な飲食代・遊興費」でした。一度手を付けた後も発覚しなかったことで心理的ハードルが下がり、会社の口座間移動や売上金の一時プールを悪用した不正経理を重ね、毎年の募金シーズンごとに現金を抜き取る常習犯へと堕ちていった経緯が浮き彫りになっています。