BUMP OF CHICKEN 紅白 歴代の軌跡を語る上で欠かせないのが、2015年と2026年に見せた全く異なるふたつの名演の舞台裏です。それぞれのパフォーマンスには、単なる楽曲披露にとどまらない周到なストーリーが隠されていました。
2015年:CDJ幕張メッセから放たれた「ray」生中継の熱気
第66回紅白歌合戦において、彼らが選んだのは渋谷のNHKホールではなく、千葉・幕張メッセで開催されていたロックフェス「COUNTDOWN JAPAN 15/16」のEARTH STAGEでした。当時、「CDJ 幕張メッセ 紅白中継 バンプ」の報が流れた際、フェス参加者と茶の間の双方が色めき立ちました。
披露された楽曲は、初音ミクとのコラボレーションでも話題を呼び、新たなバンド像を切り拓いた傑作「ray」。司会者からの呼びかけに対し、ライブ直前の幕張メッセから中継が繋がると、そこには飾り気のないステージ衣装で4万人のオーディエンスと対峙する4人の姿がありました。生中継でありながら、テレビ画面の向こうに媚びることなく、会場のファンと一体になって「◯×△どれかなんて 皆と出 daylight」と叫ぶ姿は、「テレビのために自分たちを変えるのではなく、自分たちのライブの現場へカメラを招き入れる」という鮮烈なメッセージでした。
2026年:朝ドラ『おかえりモネ』主題歌「なないろ」と20年越しの「天体観測」
初出場から6年後の2026年、第72回紅白歌合戦への出演理由は、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』との深い結びつきでした。主演の清原果耶氏が演じる永浦百音が、東日本大震災の傷を抱えながら気象予報士として生きる道を見出していく物語において、主題歌「なないろ」は物語の屋台骨となっていました。
このステージで日本中を熱狂させたのが、事前の公式発表を遥かに超える演出構成でした。柔らかな朝の光を思わせる「なないろ」の演奏を終えた直後、藤原氏がかき鳴らしたイントロのコードは、リリースからちょうど20周年を迎えていた不朽の名曲「天体観測」だったのです。予期せぬ「バンプ 紅白 天体観測」の響きに、SNS上では悲鳴に近い歓喜が広がりました。東北の地を舞台にしたドラマへの敬意と、長年バンドを信じ続けてきたファンへの20年分の感謝が、この2曲のメドレーに凝縮されていました。