大西伸明は、1990年代後半に京都市立芸術大学で学び、美術表現の本格的なキャリアをスタートさせました。京都という伝統と前衛が交錯する都市環境のなかで、彼は早くから「立体物をそのまま別の素材へと置換する」という独自の制作技法に着目します。
彼の手法は徹底しています。対象となるのは、使い古された椅子、路傍に落ちている枯れ枝、ビニール傘、あるいはプラスチック容器といった、どこにでもある日常の断片です。これらを精緻にシリコンで型取りし、透明樹脂や着色樹脂を注入して複製を作り上げます。しかし、それは単なるレプリカの作成ではありません。
表面にシルクスクリーンや転写技術を用いてオリジナルの傷、汚れ、木目、経年変化の痕跡まで完璧に再構成します。完成した作品は、一見するとオリジナルの物体そのものに見えますが、背後に回ったり光を透かしたりすると、中身が空洞であったり透明な樹脂の層であったことが露呈します。この「完璧な擬態」と「素材の乖離」が醸し出す違和感こそが、大西芸術の核と言えます。