誰かに脇を触られると飛び上がるほど反応するのに、自分の指で触れても全くくすぐったくない。この日常的な矛盾は、長年多くの人々を悩ませてきた。医学文献データベースのPubMedに蓄積された多数の脳機能イメージング(fMRI)研究は、その原因が「小脳」にあることを示している。
人間が自分の意思で手を動かすとき、脳の運動野から指令が出ると同時に、小脳に対して「これから自分で自分の脇を触る」という予測信号(遠心性コピー)が送られる。小脳はこの予測に基づき、感覚野における触覚の感度を事前に下げてしまうのだ。結果として、脳は自発的な接触を危険とみなさず、反応を無効化する。自分で自分を驚かせることができないのと全く同じ理屈である。