スーパーの会計場の一角に設けられた袋詰めスペースを「サッカー台」と呼ぶ理由は、ワールドカップでおなじみの球技「Soccer」とは一切関係がありません。その本質は、英語の名詞である「Sack(麻袋、紙袋、包材などの袋)」に、人を表す接尾辞「-er」を組み合わせた「Sacker(サッカー=袋詰めをする人)」という単語にあります。
アメリカで近代的なスーパーマーケットのシステムが確立された1930年代以降、レジカウンターには代金を計算して精算を行う「Checker(チェッカー)」と、商品を次々と紙袋に詰めていく「Sacker(サッカー)」の2名体制が標準的なオペレーションとして導入されました。日本国内にセルフサービス方式のスーパーマーケットが本格導入された昭和30年代(1950年代半ば)以降も、繁忙期や大型店舗では店員が商品を袋に詰める「スーパーマーケット サッカー番」と呼ばれる専任スタッフが配置されていた歴史が存在します。
やがて人件費削減や会計プロセスの効率化が進むにつれ、袋詰め作業は店員の手から買い物客自身へと委ねられるようになりました。その結果、かつて専任のサッカーが作業を行っていた専用の作業台だけが独立した設備として残り、一般客が利用するスペースになってもそのまま「サッカー台」という専門用語が受け継がれたというのが、流通史における確固たる事実です。