通常、国内の大規模災害におけるボランティア活動は、地域の社会福祉協議会が窓口となり、ボランティアセンターを通じて割り振られる。また、大規模な医療や物資の供給は日本赤十字社などが組織的に担う。これらは整然とした近代的な災害支援の基盤である。
しかし、尾畠氏の活動形態はそれらの組織化された枠組みとは一線を画す「完全自己完結型」だ。現地の支援物資には一切手を付けず、持参したパックご飯と水、梅干しだけで数週間を過ごす。現地の社会福祉協議会に過度な負担をかけないよう、現場の末端で誰の手も回っていない過酷な瓦礫撤去や泥出しを黙々と引き受ける。このスタイルは、現代の災害救助・人道支援の現場において、公助や共助の隙間を埋める強烈な個人の力として特異な存在感を放っている。