歴史的価値を有する建築物であるがゆえに、安全性の確保と保存の両立は至難の業であった。大規模地震への備えとして推進されたのが、岡山県庁舎耐震改修プロジェクトである。
巨大地震に耐えうる最新の免震・制震技術を導入しながら、前川國男が意図した美しい外観や内部空間のデザインを損なわない改修工事が徹底された。最新の構造解析データを駆使し、柱や壁の意匠を極力残す工法が採用されている。
この防災・リノベーション事業は、既存の歴史的庁舎を壊して建て替えるのではなく、引き継ぎながら進化させるという地方自治体の優良なモデルケースとなった。災害発生時には防災拠点として機能するよう、BCP(業務継続計画)に沿った非常用電源の強化や通信インフラの刷新も完遂されている。岡山県議会でも防災機能の確実な運用を巡り活発な議論が交わされ、県民の生命を守る安全の砦としての再整備が進んだ。