一口頬張った瞬間に口の中で弾ける食感の違いは、両者の細胞構造の違いを顕著に物語っている。文旦の果肉(じょうのう)は一つひとつの粒が固く引き締まっており、噛むと「サクサク」「プリプリ」とした心地よい歯ごたえが広がる。水分が果肉の中にしっかりと閉じ込められているため、果汁で手を汚さずに上品に味わえるのが特徴だ。
対照的にグレープフルーツは、圧倒的な果汁量と独特のパンチの利いた味わいが持ち味である。この味わいのカギを握るのが、柑橘類特有のポリフェノール化合物である「ナリンギン」だ。グレープフルーツにはこのナリンギンが非常に高い濃度で含まれており、爽快な酸味と合わさることであの癖になる苦味を生み出している。文旦にも微量のナリンギンは存在するが、酸味が穏やかで甘みとのバランスが絶妙なため、角のないまろやかな風味に仕上がる。