ネット掲示板やSNSで嘉麻市について調べると、旧産炭地特有の先入観から「治安が不安」「夜道が物騒なのでは」といった書き込みを目にすることがあります。しかし、福岡県警察が公表している地域別犯罪統計や警察白書を精査すると、そうしたイメージとは全く異なる実態が浮かび上がります。
嘉麻市の刑法犯認知件数は人口比で見ても県内平均を大きく下回る水準で推移しており、凶悪犯罪の発生は極めて稀です。街頭犯罪の多くは施錠されていない自転車の盗難などに限られており、地域住民が日々の暮らしで身の危険を感じる場面はほとんどありません。
では、なぜ治安を懸念する声がネット上に残り続けているのでしょうか。現地住民や防犯ボランティアへのヒアリングからは、以下のような構造的背景が見えてきます。
「筑豊ナンバーというだけで荒っぽい運転が多いと誤解されたり、昔の炭鉱街の荒々しいイメージをそのまま語られたりすることが多い。実際の嘉麻市は、夜になると虫の音が響くほど静かで、近所同士が挨拶を交わす温かいコミュニティです。ただし、山間部を中心に街灯が少なく夜道が非常に暗いため、その静けさと暗さが心理的な不安を増幅させている側面はあります」
ネット上の「治安が悪い」という評判は、客観的な治安データではなく、「夜間の暗さ」と「過去のステレオタイプ」が混ざり合って生じた認知のズレであると結論づけられます。