スカウト陣がスタンド裏で交わす本音の会話には、テレビ中継には映らない強烈な緊張感が漂う。スカウトが見ているのは、球速の数字や本塁打の数だけではない。追い込まれてからのファウル打ち、ピンチの場面でのマウンドでの佇まい、ベンチに戻った際の振る舞いまで、すべてが緻密にプロの眼で分析されている。
「一見地味な内野ゴロでも、一塁までの到達タイムと走塁時の視線の配り方を見れば、プロでの順応度がわかる」とある球団スカウトは明かす。日本プロ野球機構(NPB)の複数球団が火花を散らす超高校級のドラフト上位候補はもちろん、下位指名や育成枠で化ける可能性を秘めた隠れた逸材まで、スカウトたちの評価軸は多岐にわたる。秋のプロ野球ドラフト会議に向けたスカウトの密着取材からは、指名順位の攻防や、球団ごとの補強ポイントとの合致といった生々しい秘話が浮かび上がってくる。