タマのルーツを探るには、作者である長谷川町子が描いた新聞連載漫画にまでさかのぼる必要がある。原作コミックにおける磯野家のペット事情は、現代のアニメ版とは少し異なる。初期の原作にはタマ以外にもさまざまな犬や猫が登場しており、磯野家の生活に寄り添う動物たちの描写は非常に現実的だった。
長谷川町子が描く日常の機微の中に、タマは気まぐれでマイペースな猫として描き込まれていた。人間たちのドタバタ劇を少し離れた場所から冷ややかに、あるいは温かく見守る眼差しは、原作の連載当時から一貫している。原作の持つエスプリと温もりが、現代まで受け継がれるタマのパーソナリティの基礎となったのである。