「バク転ができないとデビュー組には選ばれない」――この言説は、1980年代の少年隊ブームから1990年代のV6全盛期にかけて定着した、エンタメ界でも指折りの有名な噂です。しかし、過去40年以上のデビュー実績と本人の告白データを精査すると、バク転の可否とデビューの合否に直接の因果関係はありません。
実際のところ、国民的グループのメンバーの中にも「生涯一度もステージでバク転を成功させたことがない」と公言しているトップタレントは少なくありません。代表格として挙げられるのが、嵐の櫻井翔さんです。櫻井さんは過去のバラエティ番組や雑誌インタビューにおいて「自分はバク転ができないままデビューした」とユーモアを交えて明かしています。また、SUPER EIGHT(旧関ジャニ∞)の横山裕さんや村上信五さん、NEWSの小山慶一郎さんや加藤シゲアキさん、timelesz(旧Sexy Zone)の菊池風磨さんや佐藤勝利さんなど、各時代を牽引するグループの主力メンバーにも非習得者は多数存在します。
では、なぜこれほど強固な「必須説」が広まったのでしょうか。その発端は、創業者や当時の振付師がオーディションやジャニーズJr.のレッスン現場で「何か特技を見せてみろ」と求めた際、最も手っ取り早く身体能力と度胸を証明できる手段がバク転だったことに由来します。大人数がひしめき合うレッスン場で、指導者の目に留まりバックダンサーのフロントポジションを勝ち取るための「最強の武器」であった事実が、いつしか「全員必須の絶対条件」へと誇張されて世間に浸透していったのが実情です。