1990年にTBS記者として宇宙へ渡った秋山豊寛氏、1992年にスペースシャトルに搭乗した毛利衛氏から始まり、日本の宇宙開発を牽引してきた日本人宇宙飛行士は、累計で14名(JAXAおよび前身組織で選抜・認定された飛行士、民間搭乗者除く)に達しています。
彼らの足跡を辿ると、初期のパイオニアたちが宇宙科学館の館長や大学教授など教育・研究職へと軸足を移したのに対し、現役世代は国際宇宙ステーション(ISS)の長期滞在や船外活動(EVA)で培った知見を武器に、民間企業との共創や国際交渉の最前線に立っています。
現在、最も耳目を集めているのが「誰が日本人として初めて月面に足跡を刻むのか」という人選です。アルテミス計画において、日本は月面探査車「有人与圧ローバ」の開発・提供を担う見返りとして、2名の月面着陸枠を確保しました。選考レースの焦点は、豊富な長期滞在経験と船外活動実績を誇る油井亀美也氏、大西卓哉氏、金井宣茂氏らベテラン勢の実直な運用能力と、次世代の象徴として期待される米田あゆ氏、諏訪理氏のフレッシュなアジリティのどちらが優先されるかという点にあります。
宇宙開発関係者の間では、「1人目は極限状態の危機管理に長けたベテラン搭乗員が確実視され、2人目に次世代を担う新鋭が抜擢されるのではないか」との見方が有力です。過酷な重力環境と放射線に晒される月面ミッションにおいて、選考基準は単なる知名度ではなく、NASAとの折衝能力を含む泥臭い実務適性で厳格に測られています。