1964年、昭和の映画界が最も燦然と輝いていた時代に彼は生まれた。父は圧倒的な存在感でスクリーンを支配した勝新太郎、母は気品と演技力を兼ね備えた中村玉緒。幼少期から映画の現場に囲まれ、息を吸うように芸能界の空気を吸って育った。
当時の勝プロダクションは、日本映画界の既存の枠組みを塗り替えるような規格外の熱気に包まれていた。豪快な父の背中を見つめ、彼が俳優の道を志したのはごく自然な流れだった。奥村雄大(鴈龍)という芸名を与えられた若き二世俳優に、周囲の期待は当然のように高まった。しかし、その輝かしい看板こそが、彼の人生を縛る不可解な鎖となっていく。