斎藤望怜さんの死は、突発的な悲劇ではなく、業界が長年抱える構造的な問題の延長線上にある。屋外塗装では「墜落・転落」が特に多く、建設現場では高所での作業もあり、塗装作業は有機溶剤も取り扱うため、安全には細心の注意が必要だ。これは厚生労働省が作成した安全衛生教材にも明記されている事実だ。
塗装職人が日常的に向き合う危険は、転落だけに留まらない。有機溶剤による健康被害、夏場の熱中症、冬の凍結した足場での滑落など、リスクは季節を問わず存在する。それでも多くの職人は、朝早くから現場に立ち、黙々と作業を続ける。その地道さと誠実さが、日本の住宅を守っているという事実は、もっと広く認識されるべきだろう。
塗料が全く同じでも、仕上がりや耐久性は職人の腕によって大きく変わる。それだけ塗装という仕事は、人の技術と経験に依存した職人仕事だ。だからこそ、その職人が安全に働けない現場は、品質面でも社会的信頼面でも大きな損失を招く。