いまやスキャンダルの文脈で語られることが多い彼だが、1990年代の日本の芸能界において、いしだ壱成という存在が放った輝きは唯一無二だった。フジテレビ系ドラマ『ひとつ屋根の下』で演じた和也役で一躍脚光を浴びると、その繊細でどこか壊れそうな少年性は若者たちの心を瞬く間に捉えた。
その才能を決定づけたのが、TBSテレビが制作した脚本家・野島伸司の一連の名作群だ。1995年に放送された『未成年』では、若者の焦燥感や孤独、社会への反抗を吐き出すような熱演で見事に主演を務め上げた。続いて1998年の『聖者の行進』では、知的障害を持つ青年という極めて難易度の高い役に挑み、圧倒的なリアリティをもって視聴者の涙を誘った。
当時の彼は、単なるアイドル的タレントではなく、時代そのものを象徴する演技派俳優として評価されていた。画面越しに伝わる鋭い眼光と儚げな雰囲気は、平成初期の若者文化におけるアイコンそのものであった。