40歳の大台を迎える投手が、メジャーの打者を力でねじ伏せるシーンは極めて稀だ。ダルビッシュ有がその領域に達することができた最大の要因は、徹底してデータと生化学に基づいた「自己管理のアップデート」にある。
彼は毎年のようにトレーニング理論を刷新する。筋肥大を目的とした過度なウエイトトレーニングから脱却し、関節の可動域や腱の弾性を最大限に活かす動作へとシフトした。食事面でも、詳細な血液検査を通じて自身の体質に最適な栄養バランスを割り出し、サプリメントの摂取タイミングまで秒単位で管理している。投球フォームのわずかな狂いも見逃さないハイスピードカメラと弾道測定器の活用は、もはや日常の風景だ。多くのスポーツジャーナリズム・アスリートドキュメンタリーが彼のストイックな日常に迫ってきたが、その根底にあるのは「昨日よりも良い球を投げたい」という純粋な向上心に他ならない。