フランスから遠く離れた日本の音楽シーンもまた、この言葉が持つ魔力と無縁ではいられなかった。歌謡曲黄金期から平成のJ-POP、そして令和のインディーズシーンに至るまで、「ジュテーム」という響きは特別な感情のコードとして機能し続けている。
日本語の「愛している」という言葉が持つ重苦しさや照れを回避するため、日本のアーティストたちはしばしばこの外来語を詩のフックとして採用してきた。尾崎豊や宇多田ヒカル、さらには椎名林檎に至るまで、感情の表現が極限に達した瞬間に解き放たれるフランス語のフレーズ。それは単なる異国情調の演出を超えて、日本語の文法構造では収まりきらない過剰な感情を吐き出すための安全弁だったと言える。