日本映画の歴史において、2010年代初頭のスクリーンに刻まれた彼女の影はあまりにも濃い。中島哲也監督が手掛けたサスペンス映画の傑作『告白』(2010年)で、クラスの学級委員長・北原美月役を演じた橋本愛。死と歪んだ欲望が渦巻く教室の中で、冷徹さと危うい純粋さを同居させた眼差しは、観客の心に鋭い爪痕を残した。
続いて2012年に公開された『桐島、部活やめるってよ』では、バドミントン部に所属する女子生徒・東原かすみ役を好演。どこにでもいるようで、どこか捉えどころのない等身大の高校生を巧みにリアルに体現してみせた。重厚なサスペンス映画から、スクールカーストの微細な揺れを描く金字塔的青春映画まで、弱冠10代半ばにして異彩を放ち続けた才能に誰もが驚愕したのである。