1975年12月、株式会社ポニーキャニオン(当時はキャニオン・レコード)からリリースされた1枚のシングルが、日本中を揺るがした。A面に収録されたのは子門真人が歌う『およげ!たいやきくん』。出荷枚数は公称450万枚以上、日本の音楽産業におけるシングル売上歴代1位の金字塔を打ち立てた怪物レコードである。
だが、その影に隠れがちなB面にこそ、もうひとつの傑作が刻まれていた。それが『いっぽんでもニンジン』だ。レコードプレイヤーの針をひっくり返した瞬間、軽快なカントリー調のバンジョーとアコースティックギターが鳴り響く。子どもたちは表の哀愁漂うたいやきの物語で涙し、裏面の陽気な数え歌で歓声を上げた。A面とB面の完璧なコントラストが、このシングルを単なる流行歌から歴史的文化遺産へと押し上げた要因だった。