横浜・野毛という街は、戦後の闇市から発展したディープな呑み屋街として知られる。昭和の面影を濃く残す路地裏には、今も無数の居酒屋やバーがひしめき合う。その中心で歴史を刻み続けてきたのが、まさにこの老舗洋食店だ。高度経済成長期の熱気、バブルの喧騒、そして近年の再開発ブーム。街の風景が少しずつ姿を変える中でも、店の佇まいは揺らぐことがなかった。
かつて父に連れられてやってきた子供が、今では自分の孫の手を引いて同じテーブルにつく。三世代にわたって受け継がれる常連客のストーリーは、この店が単なる飲食店ではなく、地域の人々の人生の記憶に深く結びついた場所であることを物語っている。野毛の街が持つ温かい人情味と、店の醸し出す雰囲気が完全な調和を見せている。