「横抱きだと火がついたように泣くのに、縦抱きに変えた瞬間に泣き止む」という現象には、明確な生物学的・解剖学的理由があります。
理化学研究所などの研究チームが解明した哺乳類の「輸送反応(Transport Response)」は代表的なメカニズムの一つです。親が子どもを抱えて移動する際、赤ちゃんの心拍数が低下し、運動量が減少しておとなしくなる生理現象が確認されています。縦抱きにして大人が軽く揺れながら歩く動作は、この輸送反応を強く刺激します。
さらに、以下の3つの要素が赤ちゃんの安心感を引き出します。
- 心音と呼吸の体感:大人の胸に赤ちゃんの耳と胸が密着することで、胎内環境に極めて近い「ドクドクという心拍音」と「リズミカルな体温・呼吸の上下」を感じ取ることができます。
- お腹の適度な圧迫とガス抜き:縦抱きは大人の胸とお腹で赤ちゃんの腹部が適度に圧迫されます。これにより、お腹に溜まったガスや未消化物による不快感(いわゆる乳児コリックの違和感)が緩和されます。
- 視野の開放感:横抱きでは天井しか見えない視界が、縦抱きになることで周囲の光や大人の表情を捉えられるようになり、好奇心が満たされて不快感が紛れます。
寝かしつけにおいても縦抱きは有効ですが、連続して行う時間の目安は20〜30分程度にとどめるのが賢明です。赤ちゃんが寝入った後は、首や背骨に偏った荷重がかかり続けないよう、無理のないタイミングで平らな寝床へ寝かせてあげましょう。