メディアやネット上では好奇の対象とされがちな巨大廃墟ですが、地元・蒲郡市や西浦温泉の観光関係者にとっては深刻な死活問題であり続けました。
現地住民の証言や自治体への陳情記録によれば、最も恐れられていたのは「治安悪化」と「観光ブランドへの風評被害」です。週末の深夜になると県内外からナンバープレートを隠した車両が集まり、フェンスを破壊して敷地内へ侵入する若者が後を絶ちませんでした。騒音問題はもちろん、割れたガラス片の飛散や、いつ再燃するかわからない火災の恐怖に近隣住民は長年怯えさせられていたのです。
蒲郡市をはじめとする行政側も手をこまねいていたわけではありません。パトロールの強化、バリケードの再設置、さらには法的な所有者追跡調査を粘り強く継続。国が進める「特定空家等」への対策スキームや地方創生推進の補助金制度を活用しながら、危険建物の除却に向けた道筋を整えていきました。三州園ホテルの解体は、地域コミュニティが長年抱えてきた苦悩に終止符を打つための必然的な決断だったと言えます。