有明海は、日本で最も干満差が大きい海域として知られる。潮位の差は最大で約6メートルにも達し、潮が引くと沖合数キロメートルにわたって壮大な干潟が現れる。このダイナミックな自然の営みをダイレクトに体感できる場所こそが、長部田海床路だ。
満潮の時刻が近づくと、足元にあった道は一分一秒ごとに海へと飲み込まれていく。電柱の根元が水没し、やがて電柱そのものが海の上に漂っているかのような錯覚を覚える。逆に干潮時には、引き潮とともに濡れた道路が現れ、沖合の作業場へと続く道筋がはっきりと浮かび上がる。地球と月が引っ張り合う引力のドラマを、これほど分かりやすく目撃できる場所は世界中を探しても極めて稀だ。