黒柳家の系譜を語る上で欠かせないのが、父・黒柳守綱と母・朝という二人の傑物だ。守綱は東京音楽学校(現・東京藝術大学)出身の天才肌の音楽家であり、新交響楽団(現在のNHK交響楽団)の初代コンサートマスターを務めた。妥協を許さない厳格な芸術至上主義者でありながら、家庭では深い愛情を注ぎ、徹子の鋭敏な感性を育んだ。
一方、母の朝は北海道の医師の家庭に生まれ、活発で自由な精神を持った女性だった。後にエッセイストとして『チョッちゃんが行くわよ』などの著作で社会現象を巻き起こす彼女の行動力こそ、徹子のバイタリティの直接の源流である。この二人が出会い、築いた家庭には、戦前の日本にあって極めて珍しい自由主義的な空気が満ちていた。