東京ドームの洗礼とも言えるのが、通称「天井席(2階スタンド席)」と呼ばれる40番台・41番台ゲートから入場する高層エリアだ。最大傾斜角約30度を誇る急勾配の階段を登りきった先にある景色は、もはやステージを見下ろすというより、すり鉢の縁から底を覗き込むような錯覚すら覚える。
かつてテイラー・スウィフトが敢行した『The Eras Tour』東京公演のように、最新の巨大LEDスクリーンとグラウンド一面を埋め尽くすプロジェクションマッピングを駆使した世界最高峰のメガツアーでは、この高層席こそが演出の全貌を最も完璧なパノラマで捉えられる特等席へと変貌する。ペンライトの光の海が波打ち、ドーム全体がひとつの生命体のように脈動する光景は、アリーナ前方席では決して味わえないスペクタクルだ。一方で、ステージ上部の吊りスピーカーやフライング機材がメインビジョンの一部を隠してしまう「構造上の死角」が存在するのも事実であり、事前の割り切りと準備が求められる。