温泉や公衆浴場を管轄する保健所は、管内施設に対して抜き打ちを含む立入検査を実施しており、水質汚濁や衛生管理基準違反が認められた場合には即座に法的措置が取られます。根拠法令となるのは公衆浴場法第9条などであり、都道府県知事や保健所設置市長は、公衆衛生上重大な危害が生じる恐れがある場合、施設に対して期間を定めた営業停止命令を下す権限を持っています。
行政処分が下される一般的なプロセスは、以下のような厳格な段階を踏んで進行します。
- 自主休業要請・指導:水質検査でレジオネラ属菌が検出された一報を受け、自治体はまず利用者の安全確保のため、即時の利用停止と自主休業を指導します。
- 改善命令および営業停止処分:基準値の大幅超過が認められた場合、あるいは過去の是正指導を放置していた悪質なケースでは、公衆浴場法に基づく「営業停止命令」の行政処分が正式に発令され、自治体ホームページ等で公表されます。
- 立入調査と原因究明:保健所の環境衛生監視員が現場に立ち入り、配管系統、ろ過器、塩素注入装置の作動状況、換水記録簿の改ざんの有無などを徹底的に調査します。
施設側に課されている水質検査の義務は、連日循環式浴槽の場合は年に1回以上(ろ過器を使用し原水を毎日完全換水しない場合は年2回以上)です。しかし、法令の最低基準を満たしているだけで日頃の残留塩素濃度測定を怠っていれば、検査と検査の合間に配管内で菌が急激に繁殖するリスクを排除できません。近年の行政指導では、日常的な点検記録の提出を義務付けるなど、監視体制の強化が進んでいます。