コンクリートで覆われた近代都市の中で、なぜこれほど完璧な城郭遺構が遺されたのか。その理由は、この地がたどってきた独特の歴史にある。標高およそ35メートルの台地上に築かれたこの城は、かつて早渕川の谷戸を臨む自然の要塞だった。
激動の戦国時代、周囲を見渡せるこの丘は軍事上の超重要拠点として機能していた。現代になり港北ニュータウンの開発が急速に進む中、この貴重な緑と遺構は奇跡的に破壊を免れた。今日私たちが目にする景観は、数百年前の防衛拠点の面影をダイレクトに今に伝える「生きた歴史教科書」そのものと言える。