1980年代、日本のテレビ文化はひとつの絶頂期を迎えた。その中心に君臨していたのが、フジテレビが誇る伝説的バラエティ番組『オレたちひょうきん族』だ。毎週土曜日の夜、日本中の子供から大人までが画面に釘付けになった。
楽屋裏はまさに戦場だったという。台本通りには進まない即興劇、現場で次々と生まれる狂気的な企画。ビートきよしは、その混乱の渦中で「普通の人」としての立ち位置を崩さなかった。強烈なキャラクターが暴れ回る中で、彼が放つ一言は番組全体の絶妙なバランサーとして機能し、怪獣たちの暴走をポップな笑いに昇華させていたのだ。