広大な園内を彩る17棟の歴史的建造物のうち、実に10棟が国の重要文化財に指定されている。その筆頭とも言えるのが、紀州徳川家の別邸として建てられた「臨春閣」だ。数寄屋風書院造の傑作として知られ、屋根の勾配や池に面したたたずまいは、息をのむほど洗練されている。池に映る建物影と周囲の青葉が織りなすコントラストは、まさに一幅の絵画のようだ。
さらに園内のどこからでも視線を集めるのが、室町時代に関東最古の三重塔として建立された「旧燈明寺三重塔」である。京都府加茂町(現・木津川市)から移築されたこの塔は、山頂付近から庭園全体を見下ろすように鎮座する。歴史の重みを宿した木造構造が、周囲の自然環境と完璧に同調している景色は、ここが横浜市内であることを一瞬忘れさせる。