バブル経済崩壊後の1990年代初頭。日本社会は大きな転換期を迎えていた。経済成長の鈍化とともに、地域コミュニティの希薄化が社会問題として浮上した。核家族化の進行。商店街のシャッター化。世代間の断絶。
こうした状況を打破しようと、各地の有志たちが立ち上がった。「もう一度、地域に賑わいを取り戻したい」。その思いが結実したのが、わいわいフェスタという形態だった。名称の「わいわい」には、人々が集い、声を上げ、笑い合う情景が込められている。
初期のわいわいフェスタは小規模だった。地元商店街の駐車場や公園で、手作りの屋台が並ぶ。地元の音楽愛好家が演奏する。子どもたちが絵を描く。それだけだった。しかし、その素朴さこそが人々の心を捉えた。
1990年代の先駆的事例
神奈川県横浜市のある商店街で1992年に開催された「わいわい秋祭り」は、後の各地のわいわいフェスタのモデルケースとなった。商店主たちが自ら企画し、地域の学校や自治会を巻き込んだこのイベントは、初回で約3,000人を動員。前年比で商店街の売上が15%増加したという記録が残っている。
大阪府では1995年、阪神・淡路大震災の復興支援を目的とした「わいわい復興フェスタ」が開催された。被災者を励まし、地域の絆を再確認する場として機能したこのイベントは、祭りが持つ社会的意義を改めて示した。