「温泉に入ると血糖値が下がるのか?」という疑問に対し、近年の臨床データは肯定的な側面を示しつつも、明確な警鐘を鳴らしている。湯船に入ることで皮膚血管が拡張し、末梢血流が急激に増加する。これにより全身の糖代謝が活発化し、一時的に血糖値の降下が見られる現象は確かだ。しかし、これには表裏一体のリスクが潜む。
長時間の高熱浴や脱水状態は、逆に血液を濃縮させ、一過性の急激な血糖値上昇や血栓リスクを引き起こす。さらに、自律神経障害を併発している患者の場合、湯冷め時の急激な血圧変動(ヒートショック)や低血糖の自覚症状の遅れが重篤な事故につながりかねない。立ちくらみや末梢神経障害による皮膚の感覚麻痺がある場合、熱湯による低温火傷や転倒のリスクも無視できない。効果を享受するためには、危険性の正しい把握が前提となる。