他県民が「とっとっと」を耳にした際、最も混乱を招くのが「短い音の中にどれだけの情報が詰まっているのか」という点です。結論から言うと、このフレーズは「場所や物をあらかじめ確保・キープしているか」を尋ねる、あるいは説明する際に用いられます。
国語学および方言文法の観点から「とっとっと」を形態素に分解すると、以下の3層構造で成り立っていることがわかります。
- 第1の「とっ」(動詞「取る」の連用形+促音化):「席を取る」「お菓子を取っておく」などの「確保する(キープする)」を意味します。
- 第2の「とっ」(補助動詞「おる」の連用形「おり」の変形):標準語の「〜している(進行・継続・完了状態)」に該当する九州方言「〜おる/〜よる/〜とる」が促音化したものです。
- 第3の「と」(終助詞・準体助詞):標準語の「〜の?」「〜のだ」に相当する疑問・強調の助詞です。
すなわち、「取って+おいて+いるの?」という全11文字の標準語が、音韻変化と促音便の連続によってわずか5文字(発音上は3音節)の「とっとっと」へと圧縮されています。言語の経済性という観点から見ても、極めて効率的で無駄のない洗練された口語表現といえます。