事件の背後にある事実を紐解くにあたり、最も注目されたのが出火元の特定プロセスだった。火災発生当時、坂井市消防局と福井県警察は合同で大規模な現地鑑識作業を展開した。現場に残された焼け跡の状況、鉄骨の曲がり具合、炭化の度合いなどをミリ単位で測定する緻密な作業が続けられた。
消防の調査資料や当時の実況見分記録によると、火元と目されたのは調理場付近、あるいはそれに隣接する設備エリア周辺であった。厨房内の熱源機器の使用状況や、長年の営業で重なった電気配線の経年劣化、排気ダクト内に蓄積した油脂類への引火可能性など、あらゆる角度から消防法・火災原因調査に基づく慎重な分析が行われた。最終的に人為的な悪意を示す痕跡は見出されず、熱源周囲の設備トラブルや偶発的な出火要因が重なったものと結論付けられている。怪我人を出すことなく客や従業員を避難させられたことは奇跡的であったが、歴史的建築物の大部分が焼き尽くされた被害の全貌は、あまりにも重いものだった。