『おじゃる丸』の歴史を語る上で欠かせないのが、主人公・坂ノ上おじゃる丸の声優交代劇です。歴代の担当声優と交代の背景には、当時のアニメ業界の事情が深く関わっていました。
放送開始の第1シリーズ(1998年)から第3シリーズ(2000年)まで、おっとりとした愛らしい貴族声を演じたのは声優の小西寛子さんでした。小西さんの作り上げた「おじゃる☆」という独特のイントネーションは、初期の番組人気を牽引する大きな原動力となりました。しかし、第4シリーズ(2001年)の開始に伴い、突如として西村ちなみさんへの交代が発表されます。
この交代理由については当時様々な憶測が飛び交いましたが、後に小西さん自身が発信した情報などから、当時の所属事務所や制作サイドとの間で生じた契約トラブルおよび音声の無断二次利用を巡る見解の相違が原因であったことが広く知られるようになりました。急遽バトンを受け継いだ西村ちなみさんは、初代の持つ雅な雰囲気を尊重しつつ、より表情豊かで親しみやすいおじゃる丸像を確立。20年以上にわたって役を演じ続け、現在ではすっかりお茶の間の定番ボイスとなっています。
相棒の田村カズマ役は放送初期から一貫して渕崎ゆり子さんが担当しており、電ボ役も佐藤なる美さんが長く務めるなど、脇を固めるキャスト陣の盤石な演技力が作品の安定感を支えています。