こうした構造的課題に対し、人事労務業界からは長年にわたり懸念の声が上がっていた。契約期間の定めをなくしたものの、低賃金のまま固定化される労働者が増えれば、制度本来の意図である「雇用の安定と処遇の改善」が空文化しかねないからだ。
かつて厚生労働大臣を務めた加藤勝信氏らを中心とする労働法制改革の議論においても、有期契約の空白期間(クーリング期間)を利用した企業側の「5年リセット作戦」や、無期化後の処遇格差が度々国会で取り上げられてきた。政策論議の変遷を経て、単に雇用を継続させるだけでなく、無期転換後の職務に応じた適正な評価制度の導入が企業側に強く求められるようになっている。
企業が人手不足に直面する現代において、優秀なスタッフを「名ばかり無期」で縛り続ける経営手法は、結果として離職率を高める裏目に出つつある。