東京・京橋エリアは、日本の映画史において特別な意味を持つ。かつて映画会社や関連企業が軒を連ねたこの地で、テアトルグループの試写施設は長年にわたり業界のハブとして機能してきた。試写室のシートに腰を下ろすと、革の匂いとほのかな防音材の香りが漂う。それは過去数十年間にわたり、何万タイトルもの物語がこの暗闇で産声を上げてきた証拠でもある。
大ヒット作のメディア初披露から、海外の知られざる単館系映画の買い付け試写まで、あらゆる熱量がここに集約されてきた。試写が終わると、ロビーでは評論家同士が短い挨拶を交わし、作品の出来について言葉少なに視線を交わす。その静寂な熱気こそが、日本の映画批評や作品評の出発点となってきたのだ。