阿藤快さんの経歴は、実に多彩で波乱に満ちたものでした。中央大学法学部を卒業後、俳優を志して劇団俳優座の養成所へ入所。若手時代は180cmを超える長身と彫りの深い精悍な顔立ちを活かし、時代劇や刑事ドラマで凄みのある悪役や犯人役を数多く演じました。『影の軍団』や『西部警察』などの名作で見せた鋭い眼光は、当時の視聴者に強烈な印象を与えています。
転機となったのは、1990年代から本格化した旅番組や情報番組への進出です。日本テレビ系『ぶらり途中下車の旅』では、持ち前の庶民感覚と人情味あふれる街歩きで一躍人気リポーターに。悪役のイメージを完全に覆し、「気さくで優しい阿藤さん」として全国区の人気を獲得しました。
2001年には、長年親しまれた芸名「阿藤海」から「阿藤快」へと改名。「海のように荒々しい波風を立てるのではなく、快活で爽快な人生を送りたい」という前向きな思いと、姓名判断をきっかけとした改名理由が明かされています。亡くなる直前まで出演していたTBS日曜劇場『下町ロケット』では、主人公たちを支えるベテラン弁護士役を重厚に演じ、これが俳優としての遺作となりました。