血管の破綻を引き起こす基礎疾患に加えて、現代において看過できない重大なブースターとなっているのが「アルコール」と「医薬品」の扱いです。
まず警戒すべきは飲酒と性行為の危険性です。適度な酒量は緊張をほぐすものの、アルコールには強い血管拡張作用と利尿作用があります。身体が脱水傾向に陥ると血液の粘度が増し、血栓が形成されやすくなります。さらに酒気帯び状態は痛覚や体調の異変を感じるセンサーを鈍らせるため、身体が発する危険信号を無視して限界を超えた負荷をかけてしまうのです。
そして近年、法医解剖の現場で警戒を強めているのがED治療薬の併用リスクです。バイアグラ、レビトラ、シアリスなどのPDE5阻害薬は、本来適正に使用すれば安全性の高い薬剤ですが、絶対に併用してはならない禁忌薬が存在します。
それが、狭心症の治療などに用いられる硝酸薬(ニトログリセリンなど)です。血管を拡張させる両者の相乗効果によって、命を脅かす急激な血圧低下(ショック)を引き起こし、心停止を招く危険性があります。インターネットを通じて海外から輸入された未承認の偽造ED治療薬に、不純物や過剰な有効成分が含まれていたことによる突然死も後を絶ちません。