武力で世界を征服しようとした蟻の王が、唯一勝てなかった相手。それが盤上ゲーム「軍儀」の盲目の世界王者、コムギだった。言葉も通じぬ異形の王と無垢な人間少女。二人が盤を挟んで交わした対話は、メルエムの内に「個の尊重」と「愛」を芽生えさせた。
毒に侵され、自らの命が数刻で尽きることを悟ったメルエムが望んだのは、世界征服ではなくコムギと軍儀を打ち続けることだった。毒の感染を知りながら寄り添うコムギ。「コムギ、居るか?」「はいな はいな 居りますよ」。暗闇の中で重ねられた最後の対話と絆の深さは、読者の涙を誘い、物語を至高の感動へと導いた。